同期が部屋にやってくる! (前編)


後編はこちら

明日、同期が部屋に遊びに来ます。

来るのは、同期一の風俗王で、寄ると触るとオパーイパブやピンサロの話なTさんです。

明日、久々に晩飯を一緒に食べる約束をしたのですが、

お酒を飲んだ後、遠い自宅まで電車で帰るのが面倒らしく

「自慰行の部屋に泊めて〜」

などと言い出しました。

さて困った。

2003年5月に研修が終了して、寮で同じ部屋だったジョー君(仮名)が

茨城に行き、それ以来、僕が今の部屋に1人で住んでいるわけです。

それ以来、僕の部屋は、とんでもなくカオスな部屋に成長しつつあります。

こんなサイトを持っているだけあって、

人に見られたくないもの、見られたらリストカットなものがたくさんあるのです。

ラブやんが住み着く前のカズフサの部屋くらいはあります。

1人になって以来、僕の部屋に入った同期は過去2人、

その時の部屋は、今ほどカオスな状態ではありませんでした。

それでも彼らは「何か」を感じ取っていたと思います。

それから約半年、もうやりたい放題とはこの事ってな具合におかしくなってます。

泊まりに来られるだけでも困るのに、さらに困るのは、Tさんが

「ガサ入れしちゃおうかな〜〜」

とも言っていたことです。酒の勢いで本当にやりかねません。

本気で言い出したことと思ってかかったほうがいいでしょう。


今日は仕事が割と速く終わったので、帰ってから即行で掃除を始めました。

ただの掃除ではありません。膨大な恥の数々をすべて隠すのです。

江戸幕府が徳川埋蔵金を隠すように。

中学生が、母親に見つからないようにムフフ本を隠すように。

現視研メンバーがあの部に籍を置いてなお、

見つかりたくないものを自宅ミーティングから守り通したように。

僕は隠し事ばかりだな・・・・。

このサイトだって、親にも学生時代の友人にも会社の同期にも隠してます。

さて、隠すにあたっていくつかの方針を決めました。

1.部屋の外には持ち出さず、部屋の中ですべてを隠し通す。
2.部屋をキレイにしすぎず、自然な生活感を出す。

1.については、Tさんへの挑戦です。外に隠しようがないという切実な事情もありますが。

2.は手術痕が目立たない最新の包茎手術のように、という風俗王なTさんへの挑戦です。

さて、見られて恥ずかしいものとそうでないものの見極めが大切です。

まず、マニアックな漫画やライトノベル、CDやカセットの類は、

隠さないと割り切りました。Tさんのように、風俗に行くような男が

知っているタイトルは、おそらく一冊としてなく、マニアックの一言で

片付けてもらえると見越しての決断です。

問題は第一にムフフ系アイテム、

第二にでんでろ音波虫としての人格が勝手に集めたアイテムなどです。

はっきり言って、普通のムフフ本やムフビデやムフDVDなど

見られたって痛くも痒くもありません。変態キャラで定着してますし。

ただ、普通のムフフ本、いわゆる写真のムフフ本は平気なのですが、

ムフフ漫画となると絶対に見られたくない。

桃姫やキカスマのジャンプ並なボリュームがこの時ばかりはうざったく仕方ない!

普通の写真系ムフフ本はシロとして部屋に無造作に転がし、

ムフフ漫画はクロとして隠し通すことに。

いかにも昨晩ハッスルしました、といわんばかりに散らかした普通のムフフ本たちです。





あと、集めているわけでもないのに

なぜか部屋にあり、入手経緯は一向に思い出せない

電撃帝王、電撃萌王、電撃姫や、百合姉妹といった雑誌や美少女CGの描き方の本といった、

見つかったら頸動脈切断ものの雑誌もクロとして封印へ。

見つかってもダメージは大きくないけれども、ザ・スニーカーも一応クロ。

少年エースはクロで、特撮エースはシロ。

あとタダだから、絵の資料になるかも、女性下着のページは結構エロい、

という理由で本屋さんから取ってきた

ニッセンのカタログ類も一応封印。

「なぜこんなの持ってるの」

と訊かれたら、ウソをつけそうにないので。

あと注意すべきはPC関係。

まず、あまりに日常になりすぎて、感覚がマヒしている周辺機器が意外に多いのです。

その辺を慎重に見極めて封印。特にスキャナやタブレットは要注意です。

タブレットなんて日常、マウス代わりに使っているので、

自分ではまったく違和感がないのですが、一般ピープルにとっては

持っているだけで異常なことをついつい見逃しがちです。

PCを起動してからは、イエスタデイの壁紙を外し、Windowsに最初から入っているヤツに変更。

すぐに戻してやるから待っててね、ハルちゃんにシナコ先生。

サイト更新用のファイルや画像が入ったフォルダも見つかりにくい場所に変更。

さて、肝心の隠し場所ですが、7.5畳の部屋+クローゼットでは

自ずと限られてきます。『木の葉を隠すなら森の中』といった格言と、

地形効果を組み合わせ、知恵を絞ってクリアしていきました。


テレビを段ボールの上に置いて台としているのですが、

その中に





ムフフ漫画を隠しました。

テレビの位置は、目線と同じ高さが相応しいのは自明の理、

それを実現できてりゃなんでもいいじゃん、てな具合に投げやりな段ボールの中に、

ムフフ漫画がぎっしり詰まっているとは思うまい。

スキャナやダブレットは、買ったときの箱に入れ、

段ボールの底に敷いて、その段ボールを漫画ボックスと名付け

上から二軍、三軍の本(一軍は冬目作品とか)や雑誌をドカドカと被せてカムフラージュ。





衣装ケースには、百合姉妹やニッセン等の雑誌を入れ、

外からは靴下やハンカチがはいっているようにしか見えないようカムフラージュ。





これで大概の恥は片付きました。

が、まだ一番の厄介物たちが残ってます。

それは同人誌や、サイト用に自分で書いたイラストなどの

いわゆるアレなアイテムです。

決して量は多くありませんが、隠し場所には困りました。

ムフフ漫画は、まあ見つかっても即死する程度ではありません。

ですが、これらは自分が死ぬだけでなく、

自分の遺伝子など薄まりまくった末代まで強請のネタになりえるほどの危険性を持ってます。

さて困った困った・・・・。

いろいろ考えているとノーベル賞もののナイスアイディアが思いつきました。

全国のムフフ本の隠し場所に困っている青少年のみなさんにも超お勧めです。

伊東家の食卓に送ったら、お父さんがキンコンを14分は鳴らすこと請け合いです。

まず、それらの本や原稿をビニール袋にいれ、





ハンガーにかけ、上から服をかけました。

クローゼットを開けても、ちょっと見ただけではわかりません。





これはいける!絶対に見つかりっこない!!

この方法ですべての線画やスクリーントーンや原稿用紙が片付きました。

見つかったら恥ずかしいから、という消極的な目的で隠していたのに、

だんだんと隠すことそのものが楽しくなってきました。

ガサ入れロンブーどんと来い!って感じです。

すべての恥を隠し通し、僕は社会人になって以来最大のイベントを迎えます。

いくつのアイテムを隠し通せるか、はたまたすべてバレてしまうのか。

この作戦の結末やいかに!?

同期が部屋にやってくる! (後編)


前編はこちら

でんでろルーム恥掃討作戦を終え、ついに運命の金曜日を迎えました。

この日は、仕事が定時の5時になったら、

「おっ?珍しく今日は早いね」

という先輩方に

「アフター5に予定が入ってるんですよ♪」

とルンルンと笑って、職場を後にし、Tさんにメールを入れました。

返事では、まだ仕事中の事。朝立商事で5時に仕事が終わっている人間は

早々多くないので、しばらく繁華街近辺で時間をつぶすことに。

さて、何をしたものか考え、土日に行ったら待たされるという事を学習したので

床屋に行きました。呑み会の約束まで時間があるからと床屋に行くのも乙なものです。

この床屋はまあ、クレイジーな要素はあまり無かったのですが、

僕の髪を切ってくれたのがAV男優みたいな理容師さんだったのと、

最後にスーパーはぼきみたいな掃除機で衿を掃除してくれたことです。

それからほどなくTさんの仕事が終わり、

駅の近くの白木屋に入りました。後ほど何人かの同期も来る、とのことです。

誰が来るかによっては僕の部屋に泊まる人間が増えるかもしれません。

でも僕の隠匿技術に絶対の自信があります。

何人来ようがどんと来いって感じです。

さて時間が経つにつれてどんどん人数は増えていき、

最終的に7人で日時が変わるまで呑んでました。

お開きの後、僕の部屋に泊まることになったのは

同期一の風俗王Tさんと北海道出身で見た目が秋葉系なNくんのふたりです。

白木屋から僕の寮までは近くだったので、僕は自転車、

TさんとNくんはタクシーで寮の近くまで来てもらうことに。

適当なところで、タクシーから降りて、3人でコンビニに寄りました。

TさんとNくんは、宿泊料として僕にムフフ本を買ってくれました。

「自慰行、なんでも好きなの選んでいいよ」

寮に帰って男祭り開催決定です!やっぱり持つべきものは友達だなぁ!!

そのムフフ本ですが、僕が表紙のデザインだけで選んだのですが、

あとあと、内容もハイレベルなことが判明し、僕のセンスの良さを披露してしまいました。

さて、寮に着いたのが夜中の2時頃でした。

さあ、でんでろ音波虫が世に誕生して以来の究極の持久戦がはじまりました。

「自慰行の部屋って結構片付いてるじゃん。エロ本転がってるけど(笑)」

僕の部屋に入った2人は、昨日の僕の目論見通り、

畳に転がしたあくまでダミーな普通のエロ本に真っ先に眼が行きました。

そのうちの一冊は、完全無修正のモロ見え洋ピンでしたが、

それですらまったく恥ずかしくありません。

「やっぱ自慰行の部屋はこうだよな〜」

と和やかな雰囲気になり、滑り出しは順調でしたが、ここで油断しては行けません。

おもむろにプレステを起動し、ぷよぷよSUNを開始。

Tさんが大浴場に行きたがったので、即用意を整えてやり、

Nくんにぷよぷよをプレイさせ、FF-\のレベル上げをやらせます。

ぷよぷよ初心者の2人の前で、サタンさまをぶっ倒し、尊敬度も上げます。

2人が僕のために買ってくれたムフフ本に舌鼓を打ち、思い出話に華を咲かせました。

2人はガサ入れのことはすっかり忘れ、くつろいでいると自分で思っているが

僕の計画通りの行動をとってます。ちょっと物足りなくなったので

2人を部屋に残し、トイレや風呂に行ったりと挑発的な行動もとってみます。

そこまでやっても完全にセーフ。

さて夜中の3時半頃に力尽き、3人並んで川の字になり、寝ました。

外はもう少し明るくなってます。

僕の作戦初日目は計画通り、無事に終わりました。



ところが悲劇は翌日に起こりました。

翌朝は7時半頃目が覚め、

実写版セーラームーンを笑おうかとテレビをつけたら

どうやら明日らしいです。CG全盛期の21世紀に、UFOキャッチャーで

取れそうなぬいぐるみのルナに突っ込み×3ができません!

僕は朝飯を済ませ、誰が言い出したわけでもなく、布団に寝転がったまま、

朝のアニメのラッシュを流しっぱなしにして、けだるい午前を過ごすことになりました。

僕はムフフ本に股間を熱くしている、Tさんは2日酔いでぼーっとしている、

Nくんはアニメを見ている、そんな感じで8時になり、9時になりました。

僕は遊戯王もロックマンもダンドーもどうでもよかったので、

ムフフ本とTVで9:1ぐらいの割合で楽しんでいました。

そしてついに、10時になりました。

ケロロ軍曹の始まりであります!

これを見ないと土曜日が始まらないであります!

1人だったらオープニングテーマを熱唱しているところですが

この日はそうは行きません。先程と同じようにアニメに興味があるんだか無いんだか

の態度を崩さず、本編が始まるのを待ちました。

今日はアンゴル=モア殿が初登場です。

CMが終わって本編が始まり、モア殿と軍曹とでタイトルコールです。

そこで、さっきまで2日酔いな上に、

3回ヌいたみたいにぼんやりしていたTさんが突然言い出しました。

「チャンネル変えていい?」

てめぇ!殺されてーのでありますか!!

「ブランチ見たいんだけど」

王様のチンブラがそんなに見たいでありますか!?

いかにも子供向けで、アニメを本気で見たがっていたとは露とも思ってないようです。

原作と比べたら色気もアクも薄く、ファミリー向けになってますし。

ですが、ここまで来てオタクっぷりを露見させるわけには行きません。

泣く泣くチャンネルを変えて王様のチンブラを見ました。

食べられない料理なんて観たって面白くないのであります!

一週間待ったのに、すっごい悔しかった。

その後、本格的に活動を開始した2人のボケガエルどもは

本棚の本やCDラックにならんだCDといった僕の趣味を調べ始めました。

まあ、予定の範囲内のガサ入れってヤツですな。

「へぇー、自慰行ってレディオヘッド訊くんだ、『OKコンピューター』って名作だよね」

10台の頃、かっこつけて音楽かぶれてた頃だよ!
もう2年くらい聴いてなくてほこり被っとるわい!

「カーペンターズっていいよね、低音が上手いんだよね」
「普遍的な良さがあるよね、♪エーブリ〜シャラララ〜〜」

『ケロッとマーチ』が、今の僕にとって一番いい歌です。

まあ音楽に関しては適当に返事していたのですが、

Tさんから許せない一言。

「自慰行って『ふゆめけい』って人の漫画が好きなんだ〜」


『とうめけい』って読むんだよ!バカァッ!!


そんなこんなで時刻も11時半になり

2人を送るがてら、3人で昼飯を食べに行くことにしました。

僕の憩いの時間を邪魔した上に、帰り際にムフフDVDを欲しがる図々しさ!

適当に土産をつかませ、寮を出ました。外は晴れ渡ってます。

この後、ちょっとした買い物をし、昼から焼き肉を食べ、2人を駅まで送りました。

そうして僕の作戦は大勝利したのですが、思いがけなく高い犠牲を払ってしまいました。

あまりに悔しかったので、帰り際に本屋に寄って6〜8巻まで購入し

全部の単行本を揃え、一日中違う世界へランナウェイしていました。


〜お終い〜